「・・・お前・・・本気か・・・?」
先輩の口からそんな乾いたセリフを聞いたあの日からそろそろ9年が経とうとしています。
大好きな上司に退職の相談をした…
辞表を突きつけた日から9年。
僕を9年間見守ってくれた僕の上司(以降、先輩)は、毎朝誰よりも早く出社する人でした。
僕が先輩よりも早く出社したことは在籍した7年間でも10回あるかないか・・・。
ただその10回は、僕が朝から仕事に追われているときばかりだったので、あの日のように出社する先輩を僕が待ちかまえている状況は、先輩から見てかなり珍しい風景だったに違いないでしょう。
もしかしたら「いつもギリギリ出社の長嶺が今日はやる気だな!いいことでもあったのか?^^」と先輩らしい嬉しさを感じていたかもしれません。
それに加えて、タバコを吸わない僕が先輩の朝一のタバコに付き合って喫煙場まで付いて行くと言い出したわけですから「をっ!なんかいい報告でもあるのか?」と僕からのサプライズ報告に期待していたのだと思います。(実際、妙に嬉しそうな顔してました。笑)
しかし、その喫煙所で先輩がこの記事冒頭のセリフを真っ青になりながら口にすることとなるのです。
なぜ僕は脱サラ起業したのか
自分で言うのもなんですが、僕はかなり順風満帆な会社員人生を送っていました。
トップセールスにもなれたし、同期の中では一番出世が早かったし、後輩にもお客様にも恵まれていました。
ただ表向きは態度に出していなかった(と思う)のですが、社内の人間関係(特に上司方面)がにストレスをため続ける毎日だったんですよねぇ・・・orz
特に退職する時の僕は社内でも指折りの「嫌な上司」の下で働いていました。
余談ですが、僕の元職場ではこういう嫌な上司って部下との不協和音を引き起こしてすぐに異動になっていたんですよ。
それに対して、部下からの信頼が厚い上司はむやみに異動をしません。
住宅営業会社でしたからやはり社内の雰囲気が営業成績にも影響してくるので、うまく回っているところはなかなか異動できないものなんでしょう。
つまり、短いサイクルで異動を繰り返している上司は大概「問題のある」上司ばかりで、その結果コロコロと変わる僕の上司はいつも問題のある人ばかりが回ってきてしまうワケで・・・あぁ、なんたる悪循環・・・汗
※補足
そもそも何でそんな問題ある人が上司になってんの?
って話なんですが、これが営業会社の歪なところなのかもしれないですね。
営業成績が良いものが出世するという仕組みだったので、
成績さえ良ければ人格者でなくても出世出来るのがうちの会社の特徴でした。
と、まぁこんな感じで僕の所属していた営業所は、変な上司ばかり来る負のスパイラルに運悪くハマってしまっていたのですよ。入れ替われり立ち代わりエグイ人がやってきました。(遠い目)
ちなみに僕は入社して退社するまでの7年半1度も異動しませんでした。
とはいえ、上司がコロコロ変わるおかげで異動せずとも異動気分を味わっていましたけどね。苦笑
と、まぁそんなこんなでかなり僕の心は疲弊しきっていて、今思えばうつ病になりかけていたとすら思います。
先ほど大好きな先輩と紹介した人も、この時ばかりは大っ嫌いになってました。
そんな会社に対する負の感情がピークに達したとき、たまたま参加した異業種交流会で起業という世界を知ることになります。
またその世界が、毎日憂鬱に仕事する僕にとってすごく生き生きとして楽しそうに見えたんです。
その世界にあこがれた僕は、ほぼ勢いで会社を辞める辞表を先輩に押し付けました。
ただ、簡単にやめさせてもらえず、僕が正式にやめたのは半年後の2012年12月の事です。
脱サラ起業した30歳の男が
独立して5日目に痛感した幸福
僕は会社を辞めてすぐに活動を開始しました。
そこでまず感じた事、それは
とにかく自由!!
何やっても怒られない、小言を言われない、邪魔されない。
プライベートにおいて自由なのは言うまでもないけど、ビジネスにおいてもとにかく自由!
特に僕が幸福感を感じたのは、
脱サラ起業家の幸福①
お客様がほしいもの、お客様に紹介したい物を素直に紹介できる
という点でした。
会社員時代は当然ながら会社の商品しか売れません。
もちろん、僕は会社の商品に絶対の自信を持っていましたけど、お客様1人1人要望は違って当たり前で、内心「あぁ、この人の要望だと他社のほうが幸せだろうなぁ」と思いながらも自社商品をプレゼンする経験を数え切れないほどしてきました。
当時は「うちの製品を買えば誰でも幸せになれるんだ。騙してでも買って頂くべきなんだ。」と半ば洗脳じみた思考を強制されてましたからそれを当たり前のようにしていましたが、知らず知らずストレスをため込んでいたみたいです。
独立してから
「・・・あ、今はお客様にとって最高のものを何でも紹介していいんだ。」
と、このこと気づいた時の高揚感はいまだに忘れません。
目の前の世界がパアッと明るくなったのを覚えています^^
どれだけ優れた商品であっても・・・そればかりを売り続けさせられるのはほんとキツイです。
余談ですが、だから僕はネットワークビジネスとか、ビジネスグループのPRとか、何かのグループに所属してその営業活動ばかりを行う行為に一切の魅力を感じません。
その商品がどれだけ優れてようが、そのビジネスがどれだけ最先端であろうが、そのビジネスグループがどれだけステキであろうが、なぜ起業してまで固定された概念に囚われる必要があるの?と思います。
申し訳ないですけど僕から見て、所属するビジネスグループのPRばかりしていたり、ネットワークしている人は、フランチャイズのコンビニ店長みたいな雇われ店長みたいな存在にしか見えません。
それだったら会社員の営業していたほうが、給料出るし、歩合給も出るし、保険もつくし、社会的信頼も高いし、絶対にいいと思います。
事実、僕は会社員の営業で年収1000万越えてましたし「頑張れば頑張った分お金がもらえる」なんて世界は会社員でも実現可能でした。(と、いうかそれだけを見れば起業より成功の可能性高いです。
脱サラ起業家の幸福②
サービスをドコまでするかも自由!
先ほどの話に近いところがありますが、契約者に対して行うサービスもすべて自分のさじ加減で行えるのも会社員にはない嬉しさです。
会社員だと、機械的に利益厳守が求められます。僕の場合だと下手をすれば上司が低利益の契約したせいでこちらがその分高利益契約をさせられることもありました。
もちろん、独立しても利益はしっかり確保しなくてはならないことには変わりませんけど、でもそのさじ加減は自分の自由です。
これは営業しないと分からない感覚かもですけど、営業マンって会社よりも立ち位置がお客様に近い存在なんですよね。
だから僕は、会社のほんの少しの利益上積みをするより、少しだけでもサービスしてお客様にもっと幸せになってもらいたいとずっと思っていました。
それに、そうした方が紹介もたくさんもらえて結果的には多くの利益を得ることにつながってもいました。
むやみやたらに安売りをするわけではないですが、自分の気持ちでさじ加減を自由に調整できるのは本当にうれしい事です。
脱サラ起業した30歳の男が
独立して5日目に痛感した苦悩
でも、残念ながらいい事ばかりだったわけでもありません。
脱サラ起業家の苦悩①
誰も僕のことを見てくれなくなる
いやぁ・・・これはほんとに・・・会社って偉大だなぁ・・・と心から思いましたよ僕わ。
起業して、すぐにセールスを教えるコンサルタント業をスタートした僕ですが、
まー、だ~れも僕のことを相手してくれないわけです。
これまでどれだけ会社のブランドに助けられていたのか痛感しました。もうマジで会社に感謝(語呂イイなこれ)
挨拶してもスルーされる
自己紹介してもスルーされる
こちらを見下した依頼ばかりがくる
客だと思って対応したら逆に営業しに来る
こんなのばかりでした。
いや、ほんと会社のブランドって超強力ですね。水戸黄門で言うところの印籠ですよあれ。
黄門様も印籠なしで凄んだところで誰も控えてくれない。ただのイタいおじいちゃんに成り下がります
起業当時の僕は、まさに「印籠」とついでにスケさんカクさんを忘れてきた水戸黄門みたいな状態でした。
独立してわずか数日で早速会社辞めたことを軽く後悔しました。
脱サラ起業家の苦悩②
誰も責任を取ってくれない
自由度の高さは責任の重さと比例する。
頭じゃ分かっていたけど、これが想像以上に重かった!!
例えば商談が一度失敗しても、会社員なら
「会社にもう一度相談してここまでの条件を引っ張ってきました!」
と、前回のプレゼンがイマイチだったことを会社の責任にして再度アプローチできてたし、
良く分からない部分を突っ込まれても
「そこは僕の管轄ではないので後から別の担当者に説明してもらいますね」
と組織を利用してその場から逃げることができていたんです。
でも、独立したら過去の発言はすべて自分の責任となりました。
後からどう言いつくろっても責任を逃れることはできません。
どれだけ苦境に立たされても誰も守ってくれません。全部自分の力で乗り越えなくてはいけません。
今でこそ困った時に助けてくれる「信頼できる仲間」がいますけど、起業当時はそんな人一人もいませんでした。
幸い、僕には高額な料金を支払って専属のコンサルタントが付けていたので、困った時などにはすぐに相談できて非常に心強かったのですが、正直自分一人だったら乗り越えられていたか・・・正直、不安です。
とにかく、自分の言葉に責任が持てるように、しっかりと幅広く正しい知識を身に着けて行く必要があったわけです。
脱サラ起業した30歳の男が
独立して5日目に確信した
【起業家に絶対必要な力】とは
独立してすぐに組織に所属しない事の厳しさを痛感した僕。
思えば、先ほど書いたネットワークビジネスや起業グループにハマってしまう人って、この「組織がない事による孤独や風当り」に負けてしまった人たちなのかもしれません。
ただ、僕は絶対にあの環境には戻りたくありませんでした。
もう自分の心を削りながらビジネスをすることに疲れたんです。
だから、そうならない為にあがき続けました。
その結果、まだまだ僅か9年ではありますがこうやってどこにも所属することなくお仕事をさせてもらえています。
なぜ僕は9年生きてこれたのてしょうか。
1にブランド、2にブランド、
3.4も含めて5にブランド!
まず、僕は会社のブランド力をなくしたことで、とんでもなく営業がしにくくなったことを痛感しました。
正直ブランド力のない起業家は、スパマーまがいのカズ打ちゃ当たるマシンガン営業を仕掛けるしかなくなります。
そして、これは人見知りな僕にとって地獄のような営業手法でした。
なので僕は、とにかくブランド力の強化にこだわりました。
人を引き寄せるブランド構築には「僕にしか出来ない価値提供」が必要不可欠です。
だから僕にしかできない僕だけのビジネスや情報発信する方法を、考えて考えて考え抜きました。
その結果、起業当初の僕が見つけた、僕にしかできないビジネスは、
「人見知りなのにトップセールスだった男の、
人見知り専門のセールスコンサルティング」でした。
キャッチコピーは「電柱の陰から14億売る男」
僕のフェイスブック写真が
こんな電柱に隠れている理由は当時のブランディングの名残です。笑
※現在は変わっています
あと、僕が頑張ったのは
全ての判断に責任を持てるように
徹底的に知識を身に着け、見識を持つこと
大小様々な情報が飛び交う中で、正しい情報を的確に判別して掴むためには、様々な知識を吸収して的確な判断をし続けられるよう備えることが必要となります。
変な情報をつかまされて損するのは自分ですし、それを掴んでしまった自分に責任があります。
「あいつの情報のせいで損をした―――!」なんてわめくことに何の生産性もありません。極論、騙された自分が悪いんです。
起業家として生きていく以上、他責にするマインドは捨て去らなくてはなりません。成功も失敗も全部自分のせいです。
脱サラ起業して9年目だから分かる。
独立して生きていくために必要なモノとは。
脱サラして起業すると、イイこともたくさんありますが同じぐらい辛い事も増えます。
僕が一つ恵まれていた点を挙げるならば、僕は元営業なので毎月の売り上げへのプレッシャーには慣れたものだったことです。
会社員時代から毎月の営業数字にはプレッシャーかけられ続けていましたからね^^;なまじ成績がよかったからなぜか僕は同期の中で一番過酷なノルマが課せられていました^^;;;;
しかし、営業じゃなかった人が脱サラして起業した場合、毎月の数字へのプレッシャーにはかなり胃を痛めることになると思います。
あと、モチベーションを維持するスキルも必要ですね。これも僕は営業経験の中で培うことが出来ていたのでラッキーです。
起業家になると自分を叱ってくれる人がほとんどいなくなるので、モチベーションが下がって仕事への情熱を失うと一気に堕落します。
モチベーションの維持については別の記事にまた書こうと思うので楽しみにしていてください^^
と、いうことで起業家として生きていくならば
◆取引先に相手にされるだけのブランド。
◆たくさんの情報から正しい情報を見抜く知識
◆生きていくために必要な売り上げノルマから逃げ出さずに挑む気持ちの強さ
◆モチベーションを高め続けるスキル
これらは必ず手に入れる必要があります。
あとはね、やっぱりお金!
お金はある程度貯蓄しておかないとキツイです。会社を辞めると面白いぐらい飛んでいきますし、資金不足はあなたのチャンスをゴリゴリと削っていきます。
余計な支出はまず極力減らしてください。起業する業種にもよりますが、もし僕のようなパソコンで完結するタイプの仕事ならかなり経費は抑えられます。
あと、退職したときにもらえる様々なお金も計算に入れるとかなり計画が楽になります。
最後に、30代、40代から起業家を目指す方へぜひ見てほしいnoteマガジンを2017年に連載させてもらいました。
これから起業を目指す人にとっては、とても楽しく読めるマガジンになっているので是非お読みください♪
詳しい紹介は下の記事で書かせてもらいました!
\ フォローお願いします /