「……お前……本気か……?」

いまから約12年前。大好きだった上司(以下、先輩)に退職の相談を持ちかけたあの日、

先輩の口から出た乾いたセリフを、僕は一生忘れないでしょう。

脱サラを決意した日──先輩との思い出

僕の先輩は毎朝だれよりも早く出社する人でした。

7年間の在籍中、僕がその先輩より早く出社できたのは10回ほど。

ただ、僕が早く出社する時は仕事に追われていた時ばかりで、「先輩が出社するのを待ちかまえる僕」という状況は、先輩にとってかなり珍しかったはずです。

「いつもギリギリ出社の長嶺が今日はやる気だな!」

そう思ってくれていたのかもしれません。

しかも普段タバコを吸わない僕が、先輩の朝一のタバコ休憩に付き合うと言い出したわけですから「いい報告があるのか?」と期待してくれていたようです。(実際、先輩は妙にうれしそうな顔をしていました。笑)

しかし、喫煙所で僕が切り出したのは、衝撃の“退職”相談。

先輩は真っ青な顔で、冒頭のセリフを口にしたというわけです。

なぜ僕は脱サラ起業を選んだのか

正直なところ、僕の会社員人生は“かなり順風満帆”でした。

営業としてトップセールスの実績もあり、同期の中では一番早く出世。

後輩にも恵まれ、お客様からの評判も良い。

客観的に見れば何の不満もない会社員生活を送っていたように見えます。

それでも辞めたいと思った理由

その理由はズバリ社内の人間関係。

表向きは態度に出していなかった(と思う)のですが、社内の人間関係、とくに上司がらみのストレスは相当なものでした。

住宅営業に限った話ではないと思いますが、営業会社は基本的に営業成績が良い人間が出世します。

そして、、、成績上位になる営業マンは必ずしも人格者ではありません。…いやむしろ人格者のほうが少n…ゴニョゴニョ

それが精神的にかなり堪えていました。

当時、大好きだった先輩のことまで大嫌いになるほど僕の心は疲弊。いま振り返れば、軽いうつ状態に片足を突っ込んでいたのかもしれません。

起業という世界を知ってしまった

そんな会社に対する負の感情がピークに達したとき、たまたま参加した異業種交流会で「起業の世界」を知ることになります。

そこで出会った人たちは毎日イキイキと仕事をしていて、

「自分もこんな風に働けたら楽しいかも!」と思ったのです。

そのまま勢いで会社に辞表を提出。

その世界にあこがれた僕は、ほぼ勢いで会社を辞める辞表を先輩に押し付けました。

とはいえ簡単にはやめさせてもらえず、正式に退社できたのは半年後の2012年12月でした。

脱サラ起業した30歳の男が
独立5日目に痛感した「幸福」

僕は会社を辞めてすぐに活動を開始しました。

そこでまず感じた事、それは


とにかく自由!!

何やっても怒られない、小言を言われない、邪魔されない。

プライベートにおいて自由なのは言うまでもないけど、ビジネスにおいてもとにかく自由!

自分の心の赴くままにビジネスが展開できます。

幸福①:本当にお客様がほしいモノを素直に紹介できる

会社員時代は当然ながら会社の商品しか売れません。

もちろん、自社商品に絶対の自信を持っていましたけど、お客様1人1人要望は違って当たり前、内心「あぁ、この人の要望だと他社のほうが幸せだろうなぁ」と思いながらも自社商品をプレゼンする経験を数え切れないほどしてきました。

当時は「うちの製品を買えば誰でも幸せになれるんだ。騙してでも買って頂くべきなんだ。」と半ば洗脳じみた思考を強制されてましたからそれを当たり前のようにしていましたが、知らず知らずストレスをため込んでいたみたいです。

独立してから

「・・・あ、今はお客様にとって最高のものを何でも紹介していいんだ。」

と、気づいた時の高揚感はいまだに忘れません。
目の前の世界がパアッと明るくなったのを覚えています^^

どれだけ優れた商品であっても・・・そればかりを売り続けさせられるのはほんとキツイです。

僕がネットワークビジネスに魅力を感じない理由

余談ですが、だから僕はネットワークビジネスを始めとする何かのグループに所属してその営業活動ばかりを行う行為に一切の魅力を感じません。

それはこの「お客様にとって最高のものを紹介できる自由」がなくなってしまうからです。

そこにどんな最先端性や高い収益性があっても、

結局は企業やグループの“固定概念”に縛られているように見えてしまいます。

それならいっそ会社員営業のほうが、給料や歩合、社会的信頼面もあるのでずっと得だと僕は思うんです。

幸福②:サービスの質や範囲も自分の裁量で決められる

契約者に対して行うサービスもすべて自分のさじ加減で行えるのも会社員にはない嬉しさです。

会社員だと、機械的に利益厳守が求められます。

下手をすれば上司が低利益の契約したせいでこちらがその分高利益契約をさせられることもありました。

もちろん、独立しても利益はしっかり確保しなくてはならないことには変わりませんけど、でもそのさじ加減は自分の自由です。

これは営業しないと分からない感覚かもですけど、営業マンって会社よりも立ち位置がお客様に近い存在なんですよね。

だから僕は、会社のほんの少しの利益上積みをするより、少しだけでもサービスしてお客様にもっと幸せになってもらいたいとずっと思っていました。

それに、そうした方が紹介もたくさんもらえて結果的には多くの利益を得ることにつながってもいました。

むやみやたらに安売りをするわけではないですが、自分の気持ちでさじ加減を自由に調整できるのは本当にうれしい事です。

脱サラ起業した30歳の男が
独立5日目に痛感した「苦悩」

でも、残念ながらいい事ばかりだったわけでもありません。

苦悩①:会社のブランドがなくなり、誰も相手にしてくれない

いやぁ・・・これはほんとに・・・会社って偉大だなぁ・・・と心から思いましたよ僕わ。

起業して、すぐにセールスを教えるコンサルタント業をスタートした僕ですが、
まー、だ~れも僕のことを相手してくれないわけです。

これまでどれだけ会社のブランドに助けられていたのか痛感しました。もうマジで会社に感謝(語呂イイなこれ)

挨拶してもスルーされる

自己紹介してもスルーされる

こちらを見下した依頼ばかりがくる

客だと思って対応したら逆に営業しに来る

こんなのばかりでした。

いや、ほんと会社のブランドって超強力ですね。水戸黄門で言うところの印籠ですよあれ。

黄門様も印籠なしで凄んだところで誰も控えてくれない。ただのイタいおじいちゃんに成り下がります

起業当時の僕は、まさに「印籠」とついでにスケさんカクさんを忘れてきた水戸黄門みたいな状態でした。

独立してわずか数日で早速会社辞めたことを軽く後悔しました。

苦悩②:責任はすべて自分のもの

自由度の高さは責任の重さと比例する。

頭じゃ分かっていたけど、これが想像以上に重かった!!

例えば商談が一度失敗しても、会社員なら
「会社にもう一度相談してここまでの条件を引っ張ってきました!」
と、前回のプレゼンがイマイチだったことを会社の責任にして再度アプローチできてたし、

良く分からない部分を突っ込まれても
「そこは僕の管轄ではないので後から別の担当者に説明してもらいますね」
組織を利用してその場から逃げることができていたんです。

でも、独立したら過去の発言はすべて自分の責任となりました。

後からどう言いつくろっても責任を逃れることはできません。

どれだけ苦境に立たされても誰も守ってくれません。全部自分の力で乗り越えなくてはいけません。

今でこそ困った時に助けてくれる「信頼できる仲間」がいますけど、起業当時はそんな人一人もいませんでした。

幸い、僕には高額な料金を支払って専属のコンサルタントが付いていたので、困った時などにはすぐに相談できて非常に心強かったのですが、正直自分一人だったら乗り越えられていたか・・・正直、疑問です。

脱サラ起業した30歳の男が
独立5日目に確信した
「起業家に絶対必要な力」とは?

独立してすぐに組織に所属しない事の厳しさを痛感した僕。

思えば、先ほど書いたネットワークビジネスや起業グループにハマってしまう人って、この「組織がない事による孤独や風当り」に負けてしまった人たちなのかもしれません。

ただ、僕は絶対にあの環境には戻りたくありませんでした。

もう自分の心を削りながらビジネスをすることに疲れたんです。

だから、そうならない為にあがき続けました。

その結果、まだまだ僅か12年ではありますがこうやってどこにも所属することなくお仕事をさせてもらえています。

なぜ僕は12年生きてこれたのてしょうか。

1. “ブランド”の重要性に気づき、構築を徹底した

まず、僕は会社のブランド力をなくしたことで、とんでもなく営業がしにくくなったことを痛感しました。

正直ブランド力のない起業家は、スパマーまがいのカズ打ちゃ当たるマシンガン営業を仕掛けるしかなくなります。

そして、これは人見知りな僕にとって地獄のような営業手法でした。

なので僕は、とにかくブランド力の強化にこだわりました。

人を引き寄せるブランド構築には「僕にしか出来ない価値提供」が必要不可欠です。

だから僕にしかできない僕だけのビジネスや情報発信する方法を、考えて考えて考え抜きました。

その結果、起業当初の僕が見つけた、僕にしかできないビジネスは、

「人見知りなのにトップセールスだった男の、
 人見知り専門のセールスコンサルティング」
でした。

2. 自分の言葉に責任を持てる「幅広い知識・見識」を身につけた

大小様々な情報が飛び交う中で、正しい情報を的確に判別して掴むためには、様々な知識を吸収して的確な判断をし続けられるよう備えることが必要となります。

変な情報をつかまされて損するのは自分ですし、それを掴んでしまった自分に責任があります。

「あいつの情報のせいで損をした―――!」なんてわめくことに何の生産性もありません。極論、騙された自分が悪いんです。

起業家として生きていく以上、他責にするマインドは捨て去らなくてはなりません。成功も失敗も全部自分のせいです。

脱サラ起業して12年。
独立して生きていくために必要なモノ

脱サラして起業すると、イイこともたくさんありますが同じぐらい辛い事も増えます。

僕が一つ恵まれていた点を挙げるならば、僕は元営業なので毎月の売り上げへのプレッシャーには慣れたものだったことです。

会社員時代から毎月の営業数字にはプレッシャーかけられ続けていましたからね^^;なまじ成績がよかったからなぜか僕は同期の中で一番過酷なノルマが課せられていました^^;;;;

しかし、営業じゃなかった人が脱サラして起業した場合、毎月の数字へのプレッシャーにはかなり胃を痛めることになると思います。

モチベーション維持のスキルも必須

あと、モチベーションを維持するスキルも必要ですね。これも僕は営業経験の中で培うことが出来ていたのでラッキーです。

起業家になると自分を叱ってくれる人がほとんどいなくなるので、モチベーションが下がって仕事への情熱を失うと一気に堕落します。

モチベーションの維持については別の記事にまた書こうと思うので楽しみにしていてください^^

起業家として本当に必要なもの

◆取引先に相手にされるだけのブランド。
◆たくさんの情報から正しい情報を見抜く知識
◆生きていくために必要な売り上げノルマから逃げ出さずに挑む気持ちの強さ
◆モチベーションを高め続けるスキル

これらは必ず手に入れる必要があります。

あとはね、やっぱりお金!

お金はある程度貯蓄しておかないとキツイです。会社を辞めると面白いぐらい飛んでいきますし、資金不足はあなたのチャンスをゴリゴリと削っていきます。

余計な支出はまず極力減らしてください。起業する業種にもよりますが、もし僕のようなパソコンで完結するタイプの仕事ならかなり経費は抑えられます。

あと、退職したときにもらえる様々なお金も計算に入れるとかなり計画が楽になります。

30代・40代から起業を目指す方へのメッセージ

「脱サラして起業する」というと、華やかなイメージばかりが先行しがち。

しかし実際は、苦悩もあれば、幸福もあるという両面が存在します。

僕のように30歳で独立し、12年経った今でも“どこにも所属せず”にやってこれたのは、上記で述べたように「ブランド構築」「知識」「メンタル・モチベーション維持」があったから。

もしあなたが脱サラして起業を考えているなら、僕の体験談が一つの参考になればうれしいです。

自由を手にする覚悟は必要ですが、その先にはきっと、会社員のときとは違う幸福が待っていますよ。

あなたの起業ライフが、より充実したものになることを心から願っています。

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