セールスプランナーの長嶺圭一郎です。

2020年は何かと慌ただしい年でしたが、執筆当時はもう12月に入り、年末まで残り30日を切ったタイミングでした。

この時期になると毎年のように増えるのが、 「年内に大きな売上が欲しいのでアドバイスがほしい」 というご相談です。

そこで今回は、短期間で成果を出すために非常に効果的な販売手法をお伝えしたいと思います。

「クロージング」とは何か? その語源が示す真の意味

「クロージング」という言葉、皆さんはどんな印象をお持ちでしょうか。

一般的には「セールスの最終段階」であり、「契約を獲得するために押し込む力が必要な瞬間」というようなイメージが先行していますよね。

しかし、実は「クロージング」とは文字通り「商談をクローズさせる」時間なんです。

つまりこのとき大事なのは“押し”ではなく、むしろ“引き”なのですね。

極端に言えば、クロージングにテクニックはほぼ必要ありません。

なぜなら、最後はその場から“立ち去る”だけだからです(笑)。

立ち去ることが重要なので、むしろクロージングのパートまで進んだときに、あれこれと追加で何かをする行為は成約率を下げる行為となります。

つまり、高い成約率を目指したいのであれば、クロージングをしたときにお客さまが「ちょっと待ってください!」と思わず引き止めたくなるような“仕込み”を、それまでにどれだけ作りこめるかが勝負になるわけです。

セールスプロモーションは「終わり」を意識せよ

人間は「終わり」を感じさせる事柄に対して、特に興味を引かれやすい心理を持っています。

たとえば近年、あらゆる記録を更新し、全世界の累計来場者数は約4,135万人、総興行収入は約517億円というとんでもない記録を落ち立てた映画『鬼滅の刃 無限列車編』も、物語の軸に『煉獄さん』という人気キャラクターの死が関連しています。

大ヒット漫画『ワンピース』でも、最大発行部数を記録した頂上決戦編では、主人公の兄であるエースの死が描かれ、多くのファンの心を大きく揺さぶりました。

また、SNSなどで有名人の訃報が流れると一気に注目が集まりますよね。

…話題が“死”に寄りがちになりましたが、“終わり”がテーマになると、人は強く惹きつけられる傾向があるのは事実です。

終わりを活かしたセールスの代表例:クラウドファンディング

セールスの世界でも、この「終わり」を上手に使ったシステムがあります。

その代表格といえるのが、いま注目を集めている「クラウドファンディング(クラファン)」です。

クラファンを利用したことのある方ならわかると思いますが、クラファンではプロジェクトに明確な期限が設けられるだけでなく、支援内容を選ぶ「リターン」にも数量限定が設定されていることがよくあります。

さらに、支援者が「◯◯を支援しました!」とSNSに投稿することで、企業側が意識せずともプロジェクトの終了日時がどんどん周知されていく仕組みです。

プロジェクト一覧には「終了まであと◯日◯時間」といった表示がなされており、購入(支援)を検討する人に「今急いで支援しないと、締め切られてしまう!」という危機感を与える構造になっています。

もちろんクラファンが成功している理由は「期限」や「期間」だけではなく、「巻き込み力」や「現代人の購買心理を刺激する設計」などもありますが、これ以上話すと今回のテーマから外れてしまいますので、気になる方がいればまた別の機会に詳しく書こうと思います。

あなたの商品を意図的に“終わらせる”べき理由

少し思い返せばいくつか思いつくと思いますが、各企業の最高売上を叩き出しているのもだいたい期間限定セールです。

直近の例でいえば、また『鬼滅の刃』を引き合いに出して恐縮ですが、コラボ缶コーヒーが発売からおよそ3週間で累計5,000万本超を記録し、メーカーの販売実績が前年比約150%に伸びたというニュースが話題になりました。

ここ数年、缶コーヒー市場はペットボトルコーヒーに押され気味だったのにもかかわらず、この急伸は驚異的と言えます。

鬼滅の刃の人気もさることながら、“今しか手に入らない限定品”という要素が大きく作用したわけです。

このように、短期間で大きく売上を伸ばしたいなら、販売面で「終わり」を強く意識してもらう仕組みが欠かせません。

ただ、自分の商品やサービスがなかなか売れない方ほど、販売期間を延長したり、受け入れ人数を増やしたり、とにかく広く届けようとしてしまいがちです。

お気持ちはよくわかるのですが、それは正直逆効果。
売りたいならば、あなたの商品を終わらせる ことを考えてみてください。

「商品を終わらせる」ための具体的アイデア

ここからは、クロージングをスムーズに仕掛けやすくするための「商品を終わらせる」手法をいくつかご紹介します。

1. そもそも商品自体を限定販売にする

  • 期間限定販売
  • 数量(定員)限定
  • 先着順

もっともイメージしやすいのがこれらの方法でしょう。
ただし、「数量限定」と「先着順」は似ているようでいて、お客さまに与える印象が異なるので、あなたのサービスの購買層に合わせて最適な方法を選ぶのがポイントです。

2. 看板商品を終わらせられない場合の限定方法

  • 限定特典をつける
  • 限定パッケージで提供する

これは商品やサービス自体は今後も継続販売するものの、一定期間だけ特別仕様で販売する方法ですね。
鬼滅の刃コラボ缶コーヒーも、まさに限定パッケージ戦略の好例といえます。

この場合、特典の内容が適当だと効果は薄れます。商品価格以上の価値を感じられるような特典を、ぜひ全力で考えてみてください。

3. 不可逆的な仕様で販売する

  • セミナーやイベントなど日時が過ぎれば入手できない商品・サービスにする

たとえば地方開催のセミナーなど、開催日を逃したら二度と手に入らない形態で提供するのも「終わり」を活かす一つのやり方です。

実際、僕自身は初対面のお客様に3,500万円の住宅を、わずか9時間で契約していただいた経験があります。

それも、「今動かないとチャンスを逃すかもしれない」という限定性が後押しとなり、スピード契約が実現したのです。

限定性を活用することで、お客さまの決断を後押しし、さらに注目度を上げる力が引き出されます。ぜひ積極的に使ってみてください。

そして、しっかり“終わり”で閉じるクロージングに活かしていただければと思います。

追記:限定性の演出はリストマーケティングの得意技

最後に補足ですが、今回お伝えしたような「限定性」を演出する手法は、特にリストマーケティングにおいて大いに活用されているテクニックでもあります。

ブログやSNSでは限定性を打ち出しても、そのタイミングに見に来てもらえなかったり、周りがあまり盛り上がっていない状況がコメントやいいね数などからわかってしまい、限定キャンペーン自体がしらけてしまったりなど、何かと難しい問題が発生します。

しかしリストマーケティングの場合、そもそもそのご案内自体が顧客リストにだけお送りする限定案内となります。

表では出ていない特別なご案内だからこそ、そこで宣言される限定性にはSNSやブログにはない「説得力」が伴います。

顧客リストを保有する企業や個人ビジネスが「期間限定」「数量限定」「先着限定」などのキャンペーンを仕掛けることで、短期間で大きな成果につなげるシーンは数えきれません。

上手に使いこなし、お客さまに納得感を与えるクロージングを仕掛けてみてくださいね。

PS

この記事のタイトルに【今だけ公開】と書かれているので、思わずクリックした方も多いのではないでしょうか?

これも「終わりを意識させる」テクニックの一例です。

ただし、今回の場合はそれをお見せするのが目的でしたので、この記事自体は公開し続ける予定ですのでどうぞご安心を(笑)。

そのため、今だけなどと書きながら、鬼滅の刃などの懐かしいネタがふんだんに盛り込まれた記事になっておりました。

もっとも、このような“釣り”に近い行為は「タイトル詐欺」と呼ばれ、読者の信頼を損ねるリスクもあります。

顔出しで情報発信している方は、その点をよく考慮して運用してみてください。

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