「お客様のために良かれと思って提案したのに、なぜか反応が悪い…」

「人間関係で、親切心から言った一言が、逆に相手を怒らせてしまった…」

ビジネスにおいても、プライベートにおいても、このような「良かれと思って」が空回りしてしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

実は、こうした失敗の多くは、ある一つのスキルが欠けていることが原因です。

それは「未来予測」の思考力。

なんだか少年ジャンプの最強能力みたいですね。(実際、『ONE PIECE』のカタクリや『葬送のフリーレン』の南の勇者など、未来予知能力者はチート級の強キャラばかりです)

しかし、ビジネスにおける「未来予測」は特殊能力ではありません。誰でも意識と訓練次第で身につけられる、成果に直結する思考技術です。

この記事では、セールスや人間関係における失敗の根本原因を解き明かし、「未来予測」思考を身につけて成果を出すための具体的な3つのコツを解説します。

なぜあなたの「善意」は空回りするのか?失敗に潜む2つの共通原因

良かれと思った行動が裏目に出てしまう。その背景には、多くの場合、共通する原因が潜んでいます。それは、相手の視点に立った「未来予測」ができていないことです。

原因1:人間関係をこじらせる「そんなつもりはなかった」の危険性

人間関係のトラブルで、当事者が決まって口にする言葉があります。それは「そんなつもりはなかった」です。

しかし、この言葉は残念ながら何の解決にもなりません。なぜなら、あなたに悪気がなくても、相手が不快に感じたという「事実」は変わらないからです。

例えば、起業家コミュニティで、主催者の小さなミスを善意から全員の前で指摘してしまったとします。指摘した側は「良かれと思って」いるかもしれませんが、指摘された主催者は「みんなの前で恥をかかされた」と感じ、気まずい空気が流れるかもしれません。

もしここで、「この指摘を公の場ですれば、相手はどう感じるだろうか?」という未来を予測できていれば、こっそりDMで伝える、というより良い選択ができたはずです。この小さな配慮の差が、信頼を築くか、関係を壊すかの分かれ道になります。

原因2:セールスでやってはいけない「自分本位な商品説明」

この「未来予測の欠如」は、セールスの現場でも頻繁に見られます。典型的なのが、商品のスペックばかりを説明してしまう営業です。

「このPCは最新CPU搭載で、メモリは〇〇GBで…」

こうした説明は、売り手が「商品の良さを伝えたい」という自分本位の視点に立っています。しかし、お客様が本当に知りたいのはスペックではありません。

「その商品を手に入れることで、自分の未来がどう良くなるのか?」

お客様の頭の中は、この一点だけです。このお客様の視点(未来)を予測できていない商品説明は、相手に響かないばかりか、退屈な時間を与えてしまうのです。

成果を出す人が実践する「未来予測」3つのコツ

では、どうすれば「未来予測」の思考力を身につけ、セールスや人間関係を円滑に進めることができるのでしょうか。ここでは、明日から実践できる3つのコツをご紹介します。

コツ1:徹底的に「相手の未来」をヒアリングする

未来予測の第一歩は、相手を知ることから始まります。「商品を売るな、未来を売れ」という言葉の本質はここにあります。

先ほどのPC販売の例で言えば、スペックを語る前にまずやるべきはヒアリングです。

  • 「PCを使って、どんなことをされたいですか?」(お孫さんとのビデオ通話? 動画編集?)
  • 「今、PCのことで何かお困りごとはありますか?」(動作が遅い? 操作が難しい?)

このように、相手が「どうなりたいか(理想の未来)」、そして「何を解決したいか(避けたい未来)」を深く理解することが、すべてのスタートラインになります。

コツ2:商品を「未来を叶える道具」として提示する

相手の望む未来が明確になったら、商品を「その未来を実現するための最適な道具」として提示します。

  • (お孫さんとの会話が目的の方へ)「このPCなら非常に簡単操作で、いつでもお孫さんの笑顔に会えますよ」
  • (動画編集が目的の方へ)「これならサクサク動くので、編集のストレスなく、あなたの素晴らしい作品作りに集中できます」

トップセールスマンは、商品知識が豊富なのではなく、この「相手の未来」と「商品を繋げる」ストーリーテリングが抜群に上手いのです。

彼らは冷蔵庫の機能を知らなくても、「この冷蔵庫がもたらす豊かな食生活」という未来を売ることができるでしょう。

コツ3:相手の「想定」を超える「未来」を創造し、提案する

未来予測のさらに上のスキル、それが「未来創造」です。

これは、相手が想像すらしていなかった、より良い未来をこちらから創り出し、提案する技術です。

かつて、私が上司から「プレゼンは満足を目指すな。感動させろ!」「お前の提案は、お客様の想定を超えているか?」と厳しく指導された経験があります。

お客様の要望に応えるだけでは「満足」止まり。その要望の奥にある本質的な課題を見つけ出し、「え、そんなことまで考えてくれたの!?」という「感動」レベルの未来を提案して初めて、相手の心は大きく動きます。

例えば、「業務を効率化したい」というお客様に対して、単に効率化ツールを提案するだけでは不十分です。

その先にある「生まれた時間で新しい事業を考える余裕ができますね」「スタッフの残業が減り、職場の雰囲気がもっと良くなりますよ」といった、お客様が想像していなかった素晴らしい未来まで描いて見せることが、「未来創造」なのです。

未来予測スキルは「相手への深い興味」から始まる

ここまで読んで、「やはり高度なスキルで難しそうだ」と感じたかもしれません。しかし、未来予測も未来創造も、その根幹は非常にシンプルです。

それは、「相手への深い興味と気遣い」に他なりません。

  • 「この言葉を伝えたら、相手はどう思うだろうか?」
  • 「どうすれば、この人はもっと喜んでくれるだろうか?」

この一つひとつの思考の積み重ねが、やがて強固な「未来予測」の力となります。

ONE PIECE 86巻『四皇暗殺作戦』 第860話「10:00 開宴」©尾田栄一郎/集英社

人気漫画『ONE PIECE』に登場する未来予知能力者カタクリも、「見聞色の覇気」という相手の気配を読む力を極限まで鍛えた結果、少し先の未来が見えるようになりました。理屈はこれと全く同じです。

まずは、目の前のお客様や相手に対して、これまで以上に深く興味を持つことから始めてみてください。その小さな意識の変化が、あなたのビジネスと人間関係を、きっとより良い未来へと導いてくれるはずです。


Follow me!

無料セミナーでリストマーケティングを学ぼう!!