AI×リストで自然体ビジネス設計士の長嶺圭一郎です。
この記事のポイント 売り込みが苦手な人ほど、商品の見せ方や雰囲気づくりに力を入れた方がいい。なぜなら雰囲気がよければお客さんが勝手にその気になってくれるから。美濃焼きの街を歩いて実感した、売り込まなくても売れる仕組みの正体をお話しします。
100均の皿で十分だった僕が、3万円の皿を欲しくなった日
先日、岐阜県多治見市にある美濃焼きの街、オリベストリートを歩いてきました。
今ちょっとモバイルオフィスであちこち回ってまして、AIにマーケティング事例として面白い場所をリストアップしてもらって、片っ端から見て回ってるんですね。そのリストにこのオリベストリートが入ってた。
正直に言うと、僕は焼き物に一切興味がない人間です。食器は100均ので十分。令和の時代に焼き物って、どう考えても成長産業じゃないじゃないですか。
ところがです。
たった数時間歩き回っただけで、3万円のお皿を見て「これ、買ってもいいんじゃないか」と真剣に思ってしまった。100均で十分だと思ってた人間が、価値300倍の買い物を検討するまでに至ったんです。
何が起きたのか。
結論から言うと、お店の雰囲気にやられました。
商品が変わったわけじゃない。焼き物は焼き物です。でも、見せ方と空間が変わるだけで、僕の中の価値判断が根底からひっくり返った。この体験がすごく面白かったので、今日はそこから感じた売り方の話をしてみたいと思います。
陳列が変わると、お客さんの目線が変わる
オリベストリートにはたくさんのお店がありました。で、同じ美濃焼きを売ってるのに、お店ごとにまるで雰囲気が違う。
ある店は棚にずらっと食器を積み上げてるタイプ。品揃えは多いんだけど、パッと見の印象が100均に近いんですよね。その雰囲気の中で見ると、800円のお皿でも「ちょっと高いな」と感じてしまう。1000円を超えると「だったら100均でいいじゃん」って頭が動く。
一方で、僕が3万円のお皿を見て衝撃を受けたお店は、陳列のやり方がまるで違いました。
お皿をたくさん出してない。小さな机の上に1枚だけ、芸術品のように置いてある。しかもそのお皿の横には、作者の方のプロフィール写真と経歴が添えてある。
もう、お店に入った瞬間の空気が違うんですよ。
僕みたいな焼き物初心者は、まず雰囲気に飲まれるんです。雰囲気がいいと「なんかすごそうだ」っていう目線で見始める。で、実際よく見てみると本当にすごい。布みたいに柔らかく見える陶器とか、ツルツルの光沢じゃなくてしっとりした質感のものとか。美濃焼きっていう1つのジャンルの中でもこんなにバリエーションがあるんだって驚きました。
ここで感じたのは、見せ方が変わるとお客さんの目線そのものが変わるということ。商品は同じ焼き物なのに、100均と比較される店もあれば、芸術品として見てもらえる店もある。その差を生んでいるのは商品力じゃなくて、完全に雰囲気でした。
取り置きが生んだ、想定外の購買心理
雰囲気の話だけじゃなくて、もう1つ面白い場面に出くわしました。
とあるお店で「気に入ったお皿があったら取り置きしますのでスタッフに声かけてください」ってやってたんですね。職人さんの手作業だから、全く同じお皿が存在しない。模様もちょっとずつ違うし、形も若干いびつだったりする。
取り置きされたお皿はレジの横に置いてあるわけです。
で、たまたま僕がいた時に、別のお客さんがレジに来て、そこに並んでる取り置き品を見て「わあ、このお皿も素敵ね」と。お店の人が「ごめんなさい、これは別のお客様が取り置きされたものなんです」と伝えると、そのお客さんの表情がサッと変わった。「そうなんだ…残念。私これ見つけられなかったわ」って。
この時に起きてる消費者心理がすごいんですよ。
そのお客さんは、まだ手に入れてないんです。でも、素敵だと感じた瞬間に一瞬だけ「自分がそれを使ってる未来」を想像してる。そこに「もう他の人のものです」と言われると、手に入れてもいないのに失った感覚になる。
人って、何かを手に入れたいっていうエネルギーよりも、失ったものを取り戻したいっていうエネルギーの方が体感で10倍とか20倍大きいんですよね。損失回避っていう心理なんですけど、これが購買にものすごく効く。
案の定、お店の人が「同じ作者の似た作品なら裏にありますよ」と伝えた瞬間、そのお客さんは目を輝かせて「見てみたい!」となって、追加購入の流れになってました。
テクニックとしては知ってたけど、目の前でここまで綺麗にハマったのを見たのは初めてで、ちょっと感動すら覚えましたね。
同じ商品でも、売り方が変われば動くお客さんが変わる
オリベストリートを歩いていて、もう1つ気づいたことがあります。
お店ごとに力の入れどころが全然違って、それぞれ別のタイプのお客さんが動いてたんです。
僕が雰囲気に惹かれたお店は、空気感が良すぎて逆に写真を撮れるような雰囲気じゃなかった。撮ったら怒られそうっていうか。でも別のお店に行くと、撮影OK的な空気が漂ってて、可愛らしい商品がたくさん並んでる。そっちのお店はInstagram経由の売上がしっかり立ってるという話でした。
かと思えば、シンプルに50%オフで勝負してるお店もある。レジで「え、この8000円のお皿が4000円になるんですか?」って嬉しそうに買ってるお客さんがいた。値引きに反応する層は確実にいるわけです。
つまり、同じ焼き物の街の中でも、雰囲気で動く人、喪失感で動く人、写真映えで動く人、値段で動く人がいる。売り方を変えるだけで、反応するお客さんの層がガラッと入れ替わる。
だから「この方法さえやっておけばOK」っていうのはないんですよね。いろんなフックを用意しておくことが大切だし、自分のビジネスにどのフックが合うのかを試す価値がある。
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売り込みが苦手な人こそ、雰囲気に投資してほしい
で、今回僕が一番伝えたいのはここです。
僕自身、根っから売り込みが苦手な人間なんですよ。住宅営業マンだった頃、顧客訪問ができなくて電柱の影に3時間隠れてた過去があるぐらいなので。でもその代わりに手紙やメールっていう、対面じゃない方法を磨き続けた結果、成約率49.4%でトップセールスまでいけた。
売り込みが苦手っていうのは、根っこにあるのは「お客さんがその気じゃないところに声をかけるのが嫌」っていう気持ちなんだと思うんです。
でもね、オリベストリートの体験で改めて思ったのは、雰囲気がいいと、お客さんの方が勝手にその気になるということ。
あの3万円のお皿のお店、誰も売り込んでないんですよ。ただ空間が良くて、陳列が美しくて、作者のプロフィールが添えてある。それだけで僕は「これ買いたいかも」って思った。
売り込みが苦手なら、売り込む力を磨くんじゃなくて、雰囲気を良くすることに力を使った方がずっと早い。
プロフィール写真1枚で雰囲気は変わる
じゃあ具体的に何をすればいいか。
まず一番手っ取り早いのはクリエイティブの見直しです。プロフィール写真、SNSのアイコン、Webサイトのデザイン。
たまに見かけませんか?どこかの旅行の写真を拡大しましたよね、みたいなプロフィール写真の方。あるいはAIで作ったよくあるイケメン顔のイラスト。あれはやめた方がいいです。
プロフィール1つとっても、自分がどういう世界観を打ち出したいのか、どういうメッセージを発信したいのかによって選び方がまるで変わる。100均っぽい陳列のお店と、芸術品のように見せてるお店の差が、そのままプロフィールの世界にも当てはまるんですよね。
で、ありがたいことに今はCanvaやAIの画像生成ツールがあるから、デザインにかかるコストが劇的に下がってます。
ちょっと老害っぽくなるから言いたくないんですけど、僕は起業当初、WordPressのデザインを30万円払ってデザイナーさんに作ってもらったんです。しかもそれ、たまたま知り合った学生さん価格で30万。プロに頼んでたら50万60万はかかってた。
今のWordPressテーマは高くても数万円だし、日々のクリエイティブもCanvaで月額数千円。下手したら無料でできる。雰囲気を整えるハードルは、僕が起業した頃と比べものにならないぐらい下がってます。
にもかかわらず、雰囲気を整えることに数千円すら使わない。売り込みが得意でゴリゴリ行ける人ならそれでもいいかもしれないけど、売り込みが苦手だって言いながらその状態は、かなりしんどい道を歩いてると思うんです。
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焼き物の街が教えてくれたこと
正直、焼き物なんて時代に取り残された商材だと思ってました。でもオリベストリートは、平日なのにお客さんがちゃんと歩いてたし、僕みたいな興味ゼロの人間が価値観を揺さぶられるほどのインパクトがあった。
雰囲気、喪失感の演出、SNS映え、値引き。売り方のバリエーションを持ってる街は、商材のハンデを軽々と越えてくる。
もしあなたが売り込みに苦手意識を持っているなら、まずは自分の商品やサービスの見せ方を棚卸ししてみてください。100均のような陳列になっていないか。プロフィールは価格に見合った雰囲気を出せているか。
売り込みの腕を磨くより先に、お客さんが勝手にその気になってくれる空間を作る方が、僕みたいなタイプには合ってるなと。焼き物の街を歩いて、改めてそう感じた1日でした。
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