こんにちは、AI×リストで自然体ビジネス設計士の長嶺圭一郎です。
新商品を出すとき、つい最新のマーケティングや奇抜な売り方を探してしまいませんか。僕は、その必要はないと思っています。日本時間の2026年9月23日未明に発表された、GPT-6の新モデルSolとLunaを見て、改めてそう感じました。
OpenAIは、社会の仕組みまで変えようとしているAIを売る、最先端の企業です。優秀な人材が集まり、社内では僕らが使っているものより何段も上のAIを使っているのが当たり前の会社です。それでも、新モデルの売り方は驚くほど王道でした。予告で期待をつくり、別の話題でもう一度注目を集めてから発表する。新商品発売の事前告知として、基本に忠実な流れだったんです。
やっぱ王道こそ一番強いんだよ。
新商品発売の事前告知は、なぜ必要なのか
事前告知でやっているのは、発売前に期待値と注目度を上げておくことです。僕はこれを、期待値の熟成と呼んでいます。
何が出るんだろう、とみんなが待っている状態をつくってから、ドンと発表する。そうすると、発表した瞬間に一気に注目が集まり、スタートダッシュを切れます。今回のGPT-6は、まさにこの流れでした。
GPT-6の発表は、予告から始まっていた
流れを順番に見ていきます。最初は、発表の前の週の木曜日ごろ。OpenAIの責任者が、今週出すはずだったリリースを来週に延ばすと発言し、すごく良いものになるので期待していてください、と添えました。延期の知らせですが、言ってしまえばこれも予告です。
次に、発表の3日前の土曜日。OpenAIでChatGPTとCodexを担当する責任者が、何を出すのかは一切言わずに、火曜日に特別なことがあります、と予告しました。AIを追いかけている人の多くは、公式アカウントより早く情報が出る責任者や開発側のアカウントをウォッチしています。「ついにGPT-6 Solが来るのか」と話題になりました。
そして発表の12時間前。今度は、火曜日に利用枠のリセットをプレゼントする予定だ、という発言がありました。リセットとは、AIごとに決まっている1週間や5時間あたりの利用量のカウントを、ゼロに戻すことです。OpenAIは、最上位モデルのAstraを出したときにもリセットを行っています。新商品の匂わせに加えて、別の角度からリセットまで付ける。ユーザーは、リセットはいつだ、とChatGPTのアカウントを注視する状態になりました。
何が出るんだ、開発が延びたらしい、最終調整に入っているらしい。1週間足らずの間、ユーザーはずっと盛り上がっていました。そして予告どおり、日本時間の午前3時ごろにSolとLunaが発表され、その約3時間後にはリセットも付与されました。
実は僕自身も、このリセットの予告を受けて動いた一人です。前日の夕方に残り53%だった週の利用量を、その夜に寝るまでの約5時間で3%まで使い、広告アカウントの準備、LINEスタンプ2セット計80枚の制作と申請、セミナー資料やLP、教材の改訂、市場調査を進めました。スタンプは審査待ち、広告は出稿前です。案の定リセットが来て、よっしゃ、という感じでした。
ユーザーがこれだけ熱狂しているので、今回のリリースはスタートダッシュを切れたんじゃないかと思っています。
ただ、OpenAIのような超大手は、予告をSNSに出すだけでシェア・拡散され、みんなが待っている状態をつくれます。一定以上のインフルエンサーも同じです。一方で、ほとんどの個人や小さな事業は、この期待値の熟成をSNSやブログだけではなかなかできません。

個人の事業では、メルマガで順番に伝える
そこで僕がおすすめしているのが、順番に情報を届けられるリストマーケティング、つまりメルマガです。すでにつながっている読者へ、発表前から情報を順に届けて、期待を育てられます。僕はメルマガがいちばん楽だと思っています。
リセットは、AI会社だからこそできる仕掛けです。僕らには僕らなりのやり方があります。予告して、別の話題も重ねて、発表する。この順番を、メルマガなら自分の手でつくれます。
競合が並ぶ画面で、どう見えるかも考える
今回の発表で、もう一つ大きいと思ったのが、競合の動きを意識していることです。
同じ日、AnthropicもClaudeの新モデルOpus 5.5を発表しています。その差は、わずか1時間ほど。どちらも正式な発表時刻を事前に出していたわけではないので、各社の読み合いとしか言いようがありません。ただ結果として、Opus 5.5が出たすぐ後にGPT-6の新モデルが発表され、Claude側は話題を上乗せされる形になりました。勝つべくして勝った、と言うつもりはありません。あくまで結果論ですが、今回の情報戦はOpenAIがうまく話題をさらったと僕は見ています。
数字の見え方にも差が出ました。Opus 5.5は処理コストが前作から40%ダウン、GPT-6の新モデルは50%のコストダウンです。元のコストが違うので、どちらが実際に安いかという比較にはなりません。それでも、40と50が並べば、GPTのほうが下がった印象になります。番号も、GPTは5から6へ大きく上げたのに対して、Claudeは5.5という小刻みの番号でした。
一方のClaudeも、今回はリセットできる権利をユーザーに渡し、好きなときにリセットできる仕掛けを出してきました。僕の知る限り、Claudeがこの形を出したのは初めてです。相手も最先端ですから、お互いに意識して動いているのが分かります。
良いものであることより、良いものだと思われることのほうが重要です。 お客様は、そういう先入観で動いていきます。
悲しいかな、本当に良いものが売れるとは限りません。売れるかどうかを決めるのは、お客様からの印象です。いくら自分が強みだと思っていることでも、他社と言っていることがかぶっていたら、印象は薄れてしまいます。
だから、各社がどういう打ち出し方をしているかを調べて、自分はどう見せ方を変えていくかを考える必要があります。独自性は、結局は他社に勝つためのものです。独自性があるから他社は関係ない、という話ではありません。
自分で売上を積み上げていく人に必要なスキルを、強いて一つ挙げるなら、僕は負けず嫌いであることだと思っています。上のほうにいる人は、表に出しているかどうかは別として、話してみるとみんな他社を意識しています。負けないぞと頑張ることであって、相手を攻撃する必要はありません。

売り方の基本を守り、価値は独自にする
では、売り方さえ王道なら十分なのか。ここで、ゲームの世界の話を一つ紹介させてください。
2026年9月15日に発表された日本ゲーム大賞には、ゲームデザイナーズ大賞という賞があります。売上や人気ではなく、クリエイターの視点から独創性を評価する賞です。審査員長を務めてきたゲームクリエイターの桜井さんは、今年で最後となったこの賞について、独創性は売上に直接つながりにくいことが多い、と話しています。そのうえで、こうも言っていました。
独創性を失った業界は、ゆっくりと衰退していく。
今回のAI各社も、マーケティング自体は王道でした。でも、新機能の発表のように、打ち出しているものにはそれぞれ独自の何かがあります。マーケティングに独自性を持ち込むのではなく、売り方は王道、打ち出すものには独自性。この組み合わせです。
このバランスが大切だと僕は思います。独自性ばかりに走ると、お客様を置いてけぼりにした、ひとりよがりになってしまう。反対にお客様の声ばかり聞いていると、お客様の想像の範囲内から抜けられず、いつも当たり前のものになってしまう。両方を意識する必要があります。
新商品を準備しているなら、最新の手法や奇抜な売り方を探す前に、発売前に予告で期待を育てているか、競合と並んだときにどう見えるかを確かめてみてください。王道こそ一番強い。世界の最先端を走るAI企業の発表を見て、僕は改めてそう思いました。
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