こんにちは、AI×リストで自然体ビジネス設計士の長嶺圭一郎です。

商品やサービスを一つに絞れず、何を専門として見せればよいか迷うことはありませんか。商品数を減らさずに専門性を伝える方法を、コンビニの新しい企画と、名古屋の老舗レンタル会社を手がかりにお話しします。

ローソンが2026年9月に発表したキャンペーン名は、「一点突破すぎ!」でした。

一点突破と聞くと、商品を一つに絞る企画を想像します。ところが中身は、9月22日から2週間で合計13商品。ごはんに塩辛い鮭を一点だけ乗せた弁当が297円、テリヤキソーセージを敷き詰めた弁当が397円という「一点突破すぎ!」の商品に加えて、お重に入ったモンブランが786円、肉づくしの満腹濃厚豚ラーメンと海鮮づくしのペスカトーレがそれぞれ797円という「贅沢すぎ!」の商品も並びます。公式発表は「一点突破すぎ!」「贅沢すぎ!」キャンペーンで確認できます。

具材を一つに振り切った商品と、具材を盛り切った商品。方向は逆でも、「ここまでやるのか」という一つの約束で全部がつながっています。

つまり、絞られているのは商品ではなく、お客様への約束のほうでした。

商品・サービスの特化は、お客様にどんな結果を約束するかを、力強く言い切れる状態です。

商品を一つに絞る以外にも、特化戦略は作れる

「強みを作るなら、一つに絞りましょう」

マーケティングの相談では、よく出てくる言葉です。分かりやすい助言ですし、特定の商品を突き抜けさせるのは、それはそれで有効な特化戦略です。

ただ、できることが多い人には苦しいこともあります。一つを残して他を全部やめると、これまで積み上げた知識や、お客様から求められてきた仕事まで捨てることになるからです。

ローソンの企画は、商品を一つに絞ってはいません。安いものも高いものもひっくるめて、「やりすぎ」という一点で振り切っています。

扱う商品は複数のままでも、お客様が受け取る約束は一つにできる。

「何でもできます」「お客様に合わせて柔軟に対応します」ではなく、目の前のお客様が力強さを感じる宣言ができるかどうか。ここが特化の分かれ目になります。

弱い「何でもできます」と、強い「何んでも貸します」

幅広く対応できることを伝えようとして、「何でもできます」と書く会社があります。

ただ、「とりあえずご相談ください」と言っておきながら、「それは対象外です」「こういう方はお受けできません」と、できない条件が次々に出てくる。そうなると、最初の言葉は弱くなります。

そもそも、断る条件をたくさん並べなければいけない状況を作っているなら、打ち出し方のほうを間違えています。

名古屋のレンタルリース会社、近藤産興は、公式サイトに「何んでも貸します」と掲げています。同社の表記のままです。1964年からレンタルシステムを始め、一日だけ、一点だけの要望にも応えると案内しています。詳しくは近藤産興のレンタル案内をご覧ください。

僕が昔テレビのインタビューで見たのは、実物大のスペースシャトルの模型を貸してほしいと相談された話でした。持っていなかったので、模型を作ったそうです。

その模型は結局一度しか貸し出されず、大赤字。それでも、やると約束したことをやりきったから後悔はない、と社長が話していました。

同じ「何でも」でも、意味が違います。

要望へ応えるところまで責任を持つ。その責任が、幅広い品ぞろえを強い約束へ変えます。

一つの事業に、それぞれの悩みに応える複数の専門入口を作る設計。

一つの事業に、複数の専門入口を作る

商品を一つに絞れない場合は、入口を分ける方法もあります。

特化した商品をいくつも並べたら、結局何の専門家なのか分からなくなるのでは、と心配になるかもしれません。

そうはなりません。お客様は、自分に関係のあることにしか目を向けないからです。事業者側はプロとして全体を満遍なく見てしまいますが、お客様は自分の役に立つ情報以外を見る時間がありません。

僕が以前見た整体の事例では、頭痛、腰痛など、悩みごとにランディングページを用意していました。どの症状にも対応できる整体院でしたが、「いろいろな症状を解決できます」では来院につながらなかったそうです。症状ごとの入口に分けたところ、受注が大きく伸びました。

頭痛で困っている人が最初に見るのは、自分の頭痛を解決してくれる人かどうかです。他の施術メニューを見るのは、その後です。

そこで入口では、今の悩みへまっすぐ答える。

入った後には、事業者が持つ広い知識や他のサービスも使えます。裏側の幅を捨てず、お客様から見える入口だけを専門化する考え方です。

どの悩みに入口を作るかも、同じ考え方で選べます。僕は新しい仕事を選ぶときも、簡単に参入できるかだけでなく、自分の経験とお客様の要望がつながるかを見ています。詳しくは新規事業の選び方でも書きました。

お客様の課題に対し、強く約束することで実行責任を引き受ける特化戦略。

強い約束は、逃げ道を減らす

僕は、ビジネスやマーケティングでAIを使うことなら、自分に勝てる人はいないと思っています。

かなり強い言い方です。

以前、その言葉を理由に「AIを学ぶなら長嶺さんから」と選んでくれた方がいました。強い約束は、伝える相手の判断を簡単にします。

もちろん、世の中は広いので、僕よりAIをビジネスに使いこなしている人はいると思います。ただ、その人を知ったら、あらゆる角度で調べて、その人以上の仕組みを作ろうとするはずです。

だから、宣言した時点でそれが完全にできているかどうかより、お客様へどこまで特化した宣言ができるかのほうが大事だと考えています。

強く言い切れないときの「何でもできます」は、宣言したくない人が作る逃げ道になります。そこには、お客様の姿がありません。

必要なら学び、組み直してでも応える。そこまで責任を引き受けると、幅広さは専門性に変わります。

本当の専門家ほど、特化を言い切れない

経験がある人ほど、簡単には言い切れません。

例外を知り、失敗する条件を知り、自分より高い実績を持つ人がいることも知っています。専門家の慎重さは、知識がある証拠でもあります。

僕は住宅営業でトップになった経験があります。それでも、最初は営業を人に教えようとは思いませんでした。自分より売る人がいることを知っていたからです。

反対に、無責任に「できます」と言う人ほど、その分野には浅いことが多い。真面目に極めている人ほど「ケースバイケースですから」と宣言をしなくなります。その姿勢を、僕は尊敬しています。

ただ、慎重さが強くなりすぎると、お客様には違いが伝わりません。お客様が求めているのは、安心して任せられる相手だからです。

お客様にとって、こちらの事情は関係ありません。だったら、約束してしまったほうがいいんです。

専門知識とAIで、応えられる範囲を広げる

宣言したあとで、自分の力を超えた相談が来たらどうしよう。ここが、いちばん怖いところだと思います。

今はAIがあります。ある程度その分野に知見があれば、AIと壁打ちをして、返ってきた情報の断片に自分の経験を織り交ぜる。それだけで、自分の経験だけでは自信が持てなかったことにも手が届きます。

僕の専門は経営とマーケティングです。その知識を土台にAIと壁打ちし、人事に関する相談へ対応したことがあります。

ただし、知識のない人がAIを使うのとは訳が違います。専門知識がある人がAIを使えば、次の一手、その次の一手へ進めます。何も知らない人がAIを使っても、そこには行けません。

答えが正しいか、自分のお客様へ使えるか、どこを直すべきか。その判断に、自分の知識が必要だからです。

もう一つ。ローソンのように多角的に展開して「何でも引き受けます」と打ち出すやり方は、昔は組織力がないとできませんでした。今はAIの支援があれば、小さな会社でも近いことができます。経営に関することなら何でも相談に乗れる自信がある、という方は、その方向でAIを使うのもありです。

AIに任せる仕事を考える前に、自分の仕事と判断を整理したい方は、仕事の棚卸しでAIに任せることを決める方法も参考にしてください。

商品を絞れないなら、お客様への約束を尖らせる

商品やサービスを一つに絞る方法は、今も有効です。ただ、それができなくても手はあります。

複数の商品へ一つの強い約束を通す。あるいは、お客様の悩みごとに専門の入口を作る。そのうえで、自分の知識とAIを使い、約束へ応えられる範囲を広げます。

「何を捨てるか」で止まっているなら、先に「お客様へ何を言い切るか」を決めてみてください。

商品・サービスの特化は、商品を一つに絞ることができなくても、約束を尖らせることで作れます。


コンテンツ制作について

この記事は、長嶺圭一郎自身の対話・取材・実体験・調査をもとに制作しています。AIは構成や表現の補助に活用し、最終判断と責任は長嶺圭一郎が担います。

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