こんにちは、AI×リストで自然体ビジネス設計士の長嶺圭一郎です。

新しい事業を始めようと思ったとき、「知識がなくても簡単にできる」「今なら先行者利益がある」という話が気になることはありませんか。

AIで文章や画像を作りやすくなり、今まで経験のなかった仕事にも手を伸ばしやすくなりました。ただ、作れるようになった後には、お客様に選んでもらう必要があります。

新規事業は、自分の技術・経験を使えて、既存のお客様の要望や提供ルートとつながるものから考えるのが、僕の勧める選び方です。

日本政策金融公庫の小企業調査を読んでみると、この選び方を後押しするような数字が出ていました。僕自身が売上アップのサポートやセールスレターの制作、Canva講座を始めた経緯とも重なります。そして、「参入が簡単」という言葉の中身を分けてみると、新しい仕事の探し方が変わるんですよ。

新規事業の選択理由は、自社の技術・ノウハウが61.2%

日本政策金融公庫は、2026年9月9日に「中小企業の新事業への取り組みに関する調査」を公表しています。ここでは、そのうち1人や少人数で営む小企業の結果を取り上げます。

新事業を選んだ理由の上位5つは、次のとおりです。

選んだ理由回答割合
自社の技術・ノウハウを生かせる61.2%
成長が見込める市場である40.9%
既存の提供ルートを利用できる39.3%
地域社会に貢献できる17.4%
顧客・取引先から要請があった16.2%

この設問の回答企業は582社で、調査全体の有効回答4,779社とは母数が違います。最大3つを選ぶ複数回答なので、割合を合計すると100%を超えます。

約6割の企業が、自分たちの持つ技術やノウハウを選択理由に挙げています。僕もよく、新しいことを始めるなら、自分の技術を生かせるところや、今の仕事のついでにできそうなところから始めるといい、とお話ししています。全く新しいところへいきなり飛び込むと、失敗しやすいからです。

特に今は、AIを使えば、経験のない分野でも専門家のような発信を作れるようになりました。でも、お客様からすると、その人にお金を払う価値があるかどうかは別の話です。

できることと、選ばれることは別なんですよ。

選ばれるには、その人ならではの経験や、実際に仕事をしてきたからこそ分かることが入っている必要があります。その「その人ならでは」にあたるのが、表の1位の自社の技術・ノウハウや、3位の既存の提供ルート、つまり今のお客様へ商品やサービスを届ける導線だと僕は考えています。

自分のレター制作からお客様のレター制作へ、依頼からCanva講座へ、システム化からAI活用へつながった経験

「要望をいただいたので始めた」が、僕の仕事には多い

僕の場合、表の5番目にあった「顧客・取引先からの要請」が、特に大きいです。

活動を見てくださる方から、無理をしている感じがないのに、いつの間にか新しいことを始めている、とよく言われます。ありがたいことです。そうなっているのは、僕がお客様からの要望を聞いて動いてきたからだと思っています。

そもそも売上アップの相談やサポートを始めたときも、僕は自分に、人に売上アップを教えられるほどの技術があるとは思っていませんでした。

営業ではトップセールスだったのに、おかしな話ですよね。でも、僕よりすごい営業マンをたくさん見ていましたから、「僕ぐらいの人は、ほかにもいますよ」という感覚だったんです。自己肯定感、低いんですよね。

それでも周りから「それはやった方がいい」「やるべきですよ」と言っていただいて、始めました。今も、皆さんに喜んでいただけているので提供している、という気持ちでいます。

商品やサービスを案内するセールスレターを書く仕事も、売上アップの相談を受けている中で、お客様から頼まれて始めました。「ケイイチさんの書くレターが好きなので、私のレターを書いてもらえませんか」と。

僕は自分のレターをすでに書いていたので、その技術をお客様の仕事に使うことができました。

デザインツールCanvaのセミナーも、開催してほしいという要望がきっかけです。年間約3,000人に集まっていただいた実績もあり、今もいろいろなところから講師を頼まれる、キラーコンテンツになっています。

お客様は、今の僕の仕事を知ったうえで要望を出してくださいます。だから、いただいた要望が、自分の今の仕事とつながっていることが多いんです。

お客様の声を商品づくりへつなげたい方には、お客様の要望を商品づくりにつなげる方法も参考になると思います。

AIは、以前から続けてきた効率化の延長にあった

一方、AI活用は、人から言われたというより、自分で始めました。

表でいえば、「成長が見込める市場」だからというより、1番目の「自社の技術・ノウハウ」に近いんです。僕はもともと、システムを組んで効率化することが得意で、ずっと続けてきた人間です。メルマガなどでお客様とつながり続けるリストマーケティングで、情報や案内を届ける仕組みを作ってきたことも、その一つでした。

AIは、そのシステム化や効率化に使える新しい技術です。僕にとっては、以前から取り組んできたことと相性がよかったんですね。こうして振り返ると、僕の場合は表の1番目と5番目、それにリストマーケティングで続けてきた3番目の既存の提供ルートが強いんです。

顧客要請は60.9%対47.8%、既存ルートは54.4%対47.0%、技術ノウハウは52.0%対46.7%。公表比率からの概算で因果や成功確率ではない

人気の選択理由と、取り組んだ後の評価は分けて読む

調査に戻ると、自社のノウハウを選ぶ企業が多いというだけでは、それを選んだ企業がうまくいったかどうかまでは分かりません。

多くの企業が選んだ理由は、成功と評価した企業の回答にも、失敗と評価した企業の回答にも多く出てきます。実際、失敗と評価した企業が選んだ理由の1位も、自社の技術・ノウハウでした。だからといって、自社のノウハウを生かすと失敗しやすい、と考えてしまうと読み違えます。

たとえばコンビニは、出店する数が多いぶん、閉店する数も多くなります。出店が多いのは、それだけビジネスチャンスがあるからですよね。閉店の件数だけを見て「コンビニは失敗しやすい」と判断したら、分析になりません。

そこで僕はAIも使い、理由ごとに、選んだ企業と選ばなかった企業で、新事業に対する評価がどう違うかを見ました。

ここでいう前向き評価は、企業自身が新事業を「成功」「どちらかといえば成功」と答えた割合の合計です。失敗評価は、「失敗」「どちらかといえば失敗」の合計です。理由別の評価を比べられるのは、先ほどの582社より少し少ない573社。公表されている割合から概算すると、前向き評価の割合は次のようになりました。

理由選んだ企業の前向き評価選ばなかった企業の前向き評価差の概算
顧客・取引先からの要請60.9%47.8%+13.1ポイント
既存の提供ルート54.4%47.0%+7.5ポイント
自社の技術・ノウハウ52.0%46.7%+5.3ポイント
成長が見込める市場51.5%48.8%+2.7ポイント

比較相手は、その理由を選ばなかった企業です。差は丸める前の推計値から算出しているため、表示した割合の引き算と0.1ポイントずれる場合があります。

差が一番大きかったのは、顧客・取引先からの要請です。理由として選んだ企業の数では5番目でしたが、選んだ企業の前向き評価は、選ばなかった企業より13.1ポイント高くなりました。次が既存の提供ルート、つまり今のお客様へ届ける導線を使える場合で、7.5ポイントです。

もちろん、どれを選んでも必ず成功するわけではありません。顧客要請を選んだ企業でも、失敗評価は約9.8%で、選ばなかった企業の約7.3%を上回っています。それでも、前向き評価の差が一番大きかったのは顧客要請です。だから僕は、お客様や取引先の要望を聞くことを、一番おすすめしています。

「簡単に参入できる」「先行者利益がある」だけでは選ばない

上位5つには入っていませんが、選択肢には「技術・ノウハウをあまり必要とせず参入が容易」「未開拓で先行参入のメリットがある」もありました。「技術・ノウハウをあまり必要とせず参入が容易」を選んだ企業の前向き評価は約45.5%で、選ばなかった企業は約50.5%。失敗評価は、それぞれ約11.8%と約7.1%でした。

「未開拓で先行参入のメリットがある」を選んだ企業も、前向き評価は約47.4%で、選ばなかった企業の約50.4%を下回りました。失敗評価も約11.8%と、選ばなかった企業の約6.9%より高くなっています。

先ほどの前向き評価が高かった理由とは、ちょうど逆の結果です。今なら先行者利益がある、という話でよく出てくるのが、YouTube動画やInstagram、インフルエンサーの仕事です。見た目は派手ですよね。でも今回の調査結果を踏まえると、蓋を開けたら失敗している可能性が高いのではないか、と僕は考えています。

僕が気をつけたいのは、経験や技術を使えるか、お客様とつながっているかを見ずに、参入しやすさや先行者利益だけで選んでしまうことです。結局は地に足を着けて、自分の技術・ノウハウや、お客様のリストという会社の資産を生かすことだと思っています。

ただ、ここで「参入しやすい仕事は全部だめ」とは考えないでほしいんですよ。

調査の選択肢は「技術・ノウハウをあまり必要とせず参入が容易」でした。でも僕から見ると、自分の技術を使える仕事も、参入しやすいんです。すでに積み上げてきたものがあるので、一から覚えなくていい。既存の提供ルートがあれば、お客様に案内するところから全部作り直す必要もありません。お客様からの要望なら、「じゃあ、やります」と言うだけで始められます。

こうした理由は、結果的に参入しやすいものでもありますが、前向き評価の割合は高かった。前向き評価が低く、失敗評価も高かったのは、技術がいらないから参入しやすい、という理由のほうです。

誰でも簡単にできるのか、自分が積み上げてきたから始めやすいのか。この違いは、分けて考えたいです。

既存のお客様に、次に欲しいものを聞いてみる

顧客の要望を聞くことと、既存の提供ルートを使うこと。この2つは、ズバリ、僕が続けてきたリストマーケティングが得意としていることです。

リストマーケティングは、メルマガなどでお客様との接点を持ち、関係を続けながら、情報や商品を案内していく方法です。つながっているから、アンケートで次に欲しいものを聞けますし、要望に応えた商品を案内することもできます。

既存のお客様と接点を持つ方法については、過去のお客様へ案内を届けられる接点の作り方でも詳しくお話ししています。

「リストマーケティングの人だから、そう言うよね」と思われたくなくて、今回はあえて堅い公的データを読んでみました。そうしたら、僕がいつもお伝えしていることと重なる結果が出てきたんです。

もちろん、これは偶然です。最初から成功の確率を計算して事業を選んできた、と言えたらかっこいいですけど、そんなことはありません。結果的に、やってきたことが重なっていただけです。それでも、僕が経験から話していることを試してみる価値はあるかもしれない。そう思ってもらえたら嬉しいです。

こうした公的なデータは、AIを使えば自分でも読めます。皆さんも、自分の業界の調査データをAIに探してもらってみてください。結構見つけてきます。難しいPDFも、AIに聞けば分かりやすく解説してくれます。さらに、「選んだ企業が多いから、失敗した企業の中でも多いだけじゃないの?」のように気になった点を問い返すと、数字の背景まで教えてくれます。選んだ企業の数の話なのか、その中の割合の話なのかを分けるだけで、AIの最初の説明より一段深く読めます。

次に「簡単にできる」「先行者利益がある」という話を見かけたら、その簡単さは、誰にでもできるからなのか、自分の経験やお客様とのつながりがあるからなのか。一度、分けて考えてみてください。


コンテンツ制作について

この記事は、長嶺圭一郎自身の対話・取材・実体験・調査をもとに制作しています。AIは構成や表現の補助に活用し、最終判断と責任は長嶺圭一郎が担います。

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