こんにちは、AI×リストで自然体ビジネス設計士の長嶺圭一郎です。
朝5時から、事務所の屋上でスペアリブを焼いていました。
昼のバーベキューへ持っていく肉です。その時点で、すでに1時間半ほど焼いていました。
焼き上がった肉だけを受け取るのと、朝5時から焼けていく様子を見るのでは、なぜ期待の大きさが変わるのでしょうか。
商品ストーリーは、仕込み、判断、待つ時間を繰り返し伝えるたびに育ち、完成前から期待を生みます。

完成した肉より、焼けるまでを見たくなる
今回のスペアリブは、焼く時間が4時間です。焼いたあとに1時間休ませ、その前にはスパイスを振って6時間ほど寝かせています。合わせて12時間ぐらいかかっています。
牛タンは8時間、牛ロースは5時間、低温調理器でじっくり火を入れ、そのあとグリルで仕上げる予定でした。
本来は河川敷で焼く予定でした。しかし、台風の影響で増水や風の心配があり、室内開催へ変更しました。そこで、事務所の屋上で調理してから会場へ運ぶ方法を選びました。
現地では難しい低温調理も、バーベキュー場が併設された事務所ならできます。自分で説明しながら、これはバーベキューなのかな、と笑ってしまうような作り方です。
ただ、この時間の話を聞くと、肉が焼ける前から気になってきます。
何時間も火を入れた牛タンは、どれくらい柔らかくなるのか。天候に合わせて調理法を変えた結果、どんな一皿になるのか。
完成前の時間を知ると、待つ時間まで楽しみに変わります。
仕込みと判断が、完成品の価値を翻訳する
完成品を見れば、作り手には良し悪しが分かります。肉の焼き上がりを見れば火入れの難しさが分かり、文章を読めばどこまで考えて構成したのかが分かります。
お客様は、同じ専門知識を持っていません。だから、同じものを見ても、どこがすごいのかを答えられません。
どんなにすごい商品でも、そこへ至る過程が伝わらなければ、すごいとは思われません。逆に、素朴に見えるものでも、その裏に細やかな過程があったと知った瞬間から、見え方が変わります。
寿司の修行についても、同じ議論があります。10年ほど前に堀江貴文さんが、寿司の修行なんて専門学校へ行けば1年で終わる、という話をしていました。技術だけを比べるなら、そのとおりだと思います。それでも実際には、どこかで修行して積み重ねたものがある人のほうが、同じ技術でも売れています。過程を打ち出せているかどうかの差です。
だから、どこが難しかったのか、何を優先したのか、なぜその形になったのかまで伝えます。
今回は、天候のリスクを見て会場を変え、室内へ持ち込みやすい調理法を選び、現場ではできない低温調理を先に済ませました。
この過程を知ると、完成した肉が、制約の中で積み重ねた判断の結果に見えてきます。
以前、完成前に「何を選び、何を選ばなかったのか」を見せる方法について書きました。
しかも過程は、完成品を説明する材料にとどまりません。焼け具合を眺める。肉の中心温度が上がるのを待つ。少しずつ完成へ近づく様子を見守る。
ライブキッチンのように、完成へ向かう時間そのものが、お客様の楽しみになります。だから僕は、過程ももう商品だと考えています。
反対に、過程を伝えていない商品は、あまり売れません。売れたとしても、満足度が低くなります。
ゼロリスは、白紙の段階から参加者が集まった
僕が運営しているオンラインコミュニティのゼロリスは、完成前から参加者を集めました。
最初に伝えたのは、これからコンテンツを作るということでした。
僕が試行錯誤しながらコンテンツを整え、コミュニティを作っていく。その過程を見たい人に入ってもらいました。
何人かの方が参加してくださり、そこがプレオープンになりました。3か月後にグランドオープンしています。
白紙の段階だからこそ、試行錯誤しながら作られていく様子を見て、一緒に完成を待つ価値がありました。
過程を見たいという気持ちには、それだけの価値があります。それでも当事者になると、こんな裏側は見せたくない、こんな作業に価値はないだろう、と感じてしまいます。

商品ストーリーは、何度話してもいい
初めて売る商品なら、制作の途中を見せやすいと思います。
2回目、3回目の販売になると、今さら誕生の話をしても仕方がないと感じるかもしれません。
それでも、同じ商品ストーリーを繰り返し伝えたほうがいいです。
前回の発信を、すべてのお客様が見ているとは限りません。見た人も、細部まで覚えているとは限りません。
覚えている人に向けて繰り返し語って、それがクレームになったという話は、僕はあまり聞いたことがありません。
しかも、応援している人は、好きな商品の物語を何度でも聞きたいものです。
僕は、イチロー選手の『プロフェッショナル』を今でも見ます。セリフを知っていても、見るとまた頑張ろうと思います。
商品の物語も同じです。
新しく知った人には入口になります。長く応援している人には、好きな理由をもう一度確かめる時間になります。同じ話でも、作り手の経験が増えれば、以前にはなかった一言が加わります。
商品ストーリーは、発売後も何度でも使える説明です。
自分では当たり前の工程ほど、外から見てもらう
過程を発信しようとしても、自分では何が面白いのか分からないことがあります。
以前、お米屋さんの仕事で、籾殻がついた米が白米になっていく工程を見ました。
お米屋さんにとっては、毎日のように繰り返す当たり前の仕事です。普段その工程を見ない僕には、米の色と形が変わっていく様子が何度見ても面白く感じられました。
作り手とお客様では、面白いと感じる場所が違います。
自分の仕事に価値のある過程が見つからないときは、第三者に普段の仕事を話してみてください。
- 今日、何を仕込んだのか
- 予定どおりにいかず、どんな判断をしたのか
- 完成まで、何を待っているのか
- 何度も試した末に、何を残し、何をやめたのか
相手が「そこをもっと知りたい」と反応した場所が、次に伝える商品ストーリーです。そんなに喜んでもらえるのか、と意外なところで驚くことがあると思います。
商品に自信がある人ほど、完成品を見れば分かるはずだと考えます。職人気質の人ほど、分かる人に分かればいいと思いやすいかもしれません。
それは、もったいないと思います。過程を語らなかったせいで、良い商品が、そうでもない商品に負けてしまう。そういうことが、実際にたくさん起こっています。
朝5時から焼けていく様子が期待を育てたように、次に完成品を紹介するときは、仕込み、判断、待つ時間のどれか一つを完成前に見せてみてください。
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