こんにちは、AI×リストで自然体ビジネス設計士の長嶺圭一郎です。

起業した頃、僕が支援していた駆け出しのデザイナーさんが、企業のデザインコンペでグランプリを取りました。実は、ほかの入賞作品と比べると、その方の作品は切り抜きに粗さが残っていたんです。

僕は非デザイナーです。本職の方にデザインでかなわない自信はあるんですが、そのコンペでは、制作前のリサーチをもとに方向を提案しました。

営業の提案前には、相手の普段の活動と今回の依頼の背景を調べ、相手がどうなりたいのかを考えます。 相手の望む未来につながる提案をするためです。普段と違うことを始めた理由が、提案の方向を決める手掛かりになるんです。

コンペ、取引先への提案、営業メール。今の自分の仕事でも、こちらが何をできるかを伝える前に、相手が何を求めてその機会を作ったかを見てみてください。

提案前に、相手の求める未来を調べる。普段の発信・活動。今回の依頼・募集。主催者の発言。何を変えたい?。どうなりたい?。求める未来に合う提案

普段のLPを調べて、コンペを開く理由を考えた

僕が支援していたデザイナーさんは、今も活躍され、お得意様からの受注で仕事が回っています。ただ、僕が支援していた13〜14年ほど前は、まだ無名でした。

企業のLP、つまり商品やサービスを案内するWebページのデザインコンペに、実績を作るために挑戦したんです。受賞すれば賞金があり、LPが実際に使われ、名前も一定期間掲載されるという機会でした。

僕が最初にしたのは、主催企業を徹底的に調べることでした。普段のLPはどんなデザインか。どういう方向性で、主催者はどんな発言をしているか。当時はAIもなかったので、自力でリサーチしました。

その企業のコンペは、不定期の開催でした。初開催ではなかったものの、毎年続けるデザイン賞のようなものではなかったんです。

そこから、僕は、何か変わりたいんだな、と考えました。

コンペを開くのは、主催者にとって手間のかかることです。広く知らせ、準備をする必要がある。普通に発注するだけなら、普段お願いしているデザイナーさんに頼む方が楽ですよね。

それでも、わざわざコンペを開いた。普段と違うデザインを求めているのではないか。 それが、僕の予測でした。

黒くギラギラしたLPに、青く爽やかな提案をした

コンペを主催した企業が普段使っていたLPは、黒を基調に、ギラギラ、キラキラしたものが多かったんです。当時は、若い頃の与沢翼さんがネオヒルズ族と呼ばれていた頃で、ネットのLPにも、権威性を強く見せる雰囲気がありました。

その会社が普段得意にしている方向を、もっと上手に作って出しても、今回の賞を取るのは不可能だろう。主催者の発言とコンペ開催の背景から、僕はそう考えました。

では、どんな変化を求めていそうか。

夜のようなイメージが多い中で、春のように明るく、青を使った爽やかなデザインはどうか。男性受けより、どちらかというと女性受けを意識した方向です。企業から提供されていた素材にも、使えそうなものが一部ありました。

そのコンセプトを提案し、デザイナーさんが制作した作品が、グランプリを取ったんです。

LPは実際に使われ、名前も一定期間掲載されました。そこから別の受注も来ました。主催企業からも継続的に依頼が来るようになり、その方にとって大きな転機になったんです。今も同じ依頼が続いているかまでは、僕は分かりません。

技術の巧さと、相手に刺さるコンセプト。LPコンペの実例。公開された他の作品。普段に近いギラギラ系。技術は高いと感じた。受賞した作品。青く明るい爽やか系。切り抜きには粗さが残る。当時の観察。求めている変化に合うコンセプトが刺さった

切り抜きの粗さが残っていても、コンセプトが相手に刺さった

上の図は、本文でお伝えする色や雰囲気の違いを示した説明用のイメージです。

受賞後、準グランプリなどの作品も何点か公開されました。並べて見ると、大半は、その会社の普段のLPと同じギラギラ系でした。

デザインの技術を見ると、ほかの方が高いと僕は思いました。

支援していた方は、まだ駆け出しです。当時はPhotoshopで細かく切り抜く必要があり、そこが、すっごく粗かったんですよ。背景からわざと浮かせたのかな、と思うくらい。並べると、技術が足りない部分も見えました。

それでも、その作品は、相手が求める方向に合ったコンセプトでグランプリを取りました。何を作るかの判断が、結果につながった経験です。

だから、やっぱり技術力じゃないんだな、と僕は思いました。相手が何を求めて今回の依頼をしたかを見て、それに合う提案ができたことが大きかったんです。

営業メールは、調べた相手に未来を提案する

営業メールでも、同じことが起きています。機械的なメールが来ても、何にも心が揺さぶられない。送る側が、こちらの都合や考えていることに、興味を持っていないからです。

自分たちの都合を送ってくるだけで、確かにそれをやってみたかった、と感じる提案がないんですよ。

人は、商品のスペックや理屈では動きません。商品を売るなら未来を売れ、というセールスの基本があります。相手が目指している未来を提供する。まだ迷っている人には、それが自分の理想かもしれないと思える提案をする。そのために、今どんなことを考え、どんな活動をしているかを調べるわけです。

不特定多数に1日100件送るくらいなら、徹底的にリサーチをして、1日2人か3人だけに送る。

僕は、その方が絶対に成約率は高いし、多分、高額受注にもつながると考えています。

とはいえ、相手に興味を持つのが苦手な気持ちも分かります。僕も、積極的に相手へ興味を持つタイプではありません。1人で生きていけるなら、1人で生きていきたい方なので。

そこは頭を切り替える。こちらの都合を一方的に押し付けず、相手が求めるものを考えて動いてください。

相手が場を作った理由を読み、提案した先まで考える

僕がよくおすすめする漫画『左ききのエレン』にも、相手が何を求めているかを考える場面が出てきます。デザイン会社に勤める朝倉光一が、才能のある人たちに囲まれながら、デザイナーとして生きていく漫画です。

最近読んだ短期連載では、AIと人間のクリエイター集団がコンペで競っていました。過去の事例から好まれそうな既定路線を提案するAIに対して、人間側は、主催者が変わることを求めてこの場を作ったと捉え、違うものを提案する。求めるもの以上を提供して、人間の側が勝つ展開でした。昔の僕の提案と同じような流れで、ちょっと嬉しかったんですよ。

相手が何を求めているかを考えると、次には、提案を受けた相手がどう動くかを考える面白さも出てきます。『HUNTER×HUNTER』のジンは、僕にはその発想の戦略家に見えるんです。単純な戦闘力の最強とは違う。狙った相手が自分の予測どおりに動くことに、ハンターとしての喜びを感じる、という趣旨の言葉があるんですよ。

この提案をしたら、相手はどう動くのか。動いた先に、次の提案を置いておいたらどうか。行き当たりばったりで反応を待つだけでなく、先に考えて仕掛ける。その面白さに気づけると、提案する側として一皮も二皮もむけると思います。

住宅営業では、競合の説明を聞いた後の心理まで予測した

僕は住宅営業の頃から、競合が何を説明し、それを聞いたお客さんがどう思い、次に何を求めるかを予測して提案していました。もう、先読み合戦です。

たとえば、競合の鉄骨メーカーが、鉄骨だから強いですよ、と説明してくるだろうと予測したとします。僕がそこで、鉄は駄目ですよ、と言ってしまうと、鉄骨メーカーを選ばないでほしいんだな、と意図を見透かされる。見透かされると、提案の魅力は一気に半減するんです。

僕は今考えても、地震への強さは、自分が勤めていた会社が最強だったと思っています。手順さえ間違えなければ、絶対にうちの方が強いですよね、という話になる。ただ、それも提案の仕方次第でした。

当時、僕がお客さんへ先に伝えたのは、地震への強さで大切なのは家の重さだ、という説明です。家は重いほど大きく揺さぶられるから、なるべく軽くしながら強度を高めることが重要だ、と伝えていました。鉄骨という言葉を、わざわざ出さずにです。

そう説明しておくと、重量鉄骨系の住宅メーカーは、自社をPRするたびに穴に落ちていくような形になる。競合の説明が、お客さんにどう受け取られるかまで考えていたんです。こちらの意図も見透かされないようにする。競合が言うことと、お客さんの受け取り方の両方を見るわけです。

前に通った提案も、相手の今の状況から考え直す

喜ばれるかもしれないと思って出したものが、見事に肩透かしを食らうことは、今でもあります。

お客さんの心理は、競合の提案、周囲の人の意見、最近のニュースなどでも変わります。2か月前、3か月前にうまくいったから、今も同じでよいとは言えません。こちらが動いていなくても、世の中が動いていますから。

こうした外的要因の中で、今求められているものを先読みするのは、AIが結構苦手としているところだと僕は感じています。我々人間側に求められる能力だと思います。

自分の得意なやり方を提案するときも、相手にどんな結果を届けられるかが大切です。依頼する側の事情については、自分らしさと独りよがりの違い|相手への負担と結果で考えるでも書いています。

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この記事は、長嶺圭一郎自身の対話・取材・実体験・調査をもとに制作しています。AIは構成や表現の補助に活用し、最終判断と責任は長嶺圭一郎が担います。

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